
【知的財産コラム】実用新案権について解説

実用新案権とは

実用新案権とは、物品の形状、構造、組み合わせについての考案(小発明)を保護する目的があります。
具体的にどのようなものがあるかというと、例えばペットボトルのキャップや布団叩きなどのちょっとした生活用品が対象になることが多くあります。特許よりも小さな発明というイメージです。
実用新案登録を受けるための要件

- 実用新案法の「考案」にあたること
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物品のみが保護の対象になっています。特許法とは異なり、製造方法等の方法については保護の対象になっていません。
- 産業上の利用可能性
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一般産業として実施できること。
- 新規性
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出願時点で、従来にないものであること。
- 進歩性
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「容易に発明をすることができた」場合を、一般に「進歩性」がないと表現します。
- 先願
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同一の考案について2以上の実用新案登録(特許)出願あった場合に、最先の出願人のみが登録を受けることができます。
- 公益に反しない
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公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある考案でないこと。
出願に必要な書類
実用新案登録出願には下記5つの書類が必要です。
- 願書
- 明細書
- 実用新案登録の請求の範囲
- 要約書
- 図面(必須です)
出願方法
実用新案登録出願は、書類で出願する方法とインターネットを用いて出願する方法があります。
書面で提出した場合、出願時に加え、特許庁に書類を提出するたびに、電子化手数料(書類を電子化するための手数料)の2400円+(800円×書面のページ数)がかかりますので注意が必要です。
実用新案権の出願料
出願に際し、出願料14、000円と1~3年登録料〔(2、100円+請求項の数×100円)×3〕
を納付する必要があります。
実用新案権の設定登録と存続期間
実用新案権は、無審査主義をとっております。
従って、形式面審査のみで2~3ヶ月で登録することが可能です。
実用新案権の存続期間は出願の日から10年となります。
実用新案権の行使

特許法とほぼ同じですが、無審査のため、以下の点に注意する必要があります。
救済方法
相手の過失は推定されません。従って、損害賠償請求する場合には、権利者の側で過失があったことを立証しなくてはなりません。
権利行使への歯止め
実用新案権の設定登録は、実体的審査を行うことなく行われるので、登録された権利が有効なものである保証はありません。
そこで、技術評価証明書(特許庁が評価)を提示して相手に警告をした後でなければ、侵害者等に対し、その権利を行使することができません。