【相続】遺留分侵害額請求調停とは?申立て方法や必要書類、解決事例についてご紹介します
遺留分に関しては,当事者同士で話し合って解決出来るのがいいですが,生前贈与の有無,預貯金の引き出し,遺産の価額などを巡り,対立が激しいこともあり,話し合いで解決することが困難なことが多いのが実情です。そのような場合,家庭裁判所に遺留分侵害額請求調停を申し立てることになります。
遺留分について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
遺留分侵害額請求調停の申立方法
管轄
原則として,遺留分を請求する相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。被相続人の住所地ではないので注意して下さい。
手数料
1件について1200円分の収入印紙を申立書に貼付します。
申立書関係
申立書の書式や記載例については,裁判所ウェブサイトの書式や記載例を参考にして下さい。
調停申立てに必要な証拠関係書類
- 戸籍関係
- 被相続人が生まれてから死亡するまでの間に在籍した全戸籍の除籍謄本(全部事項証明書を含む)・改製原戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本(全部事項証明書を含む)
- 相続人全員の戸籍の附票(取得後3ヶ月以内)
- 遺言書又は遺言書の検認調書謄本
- 遺産関係の資料
遺留分額の算定には,被相続人の遺産の価額,贈与した財産の価額,債務の額を明らかにする必要があるため,それらに関する客観的資料の提出が必要となってきます。以下はその一例です。
- 不動産
・登記簿謄本又は全部事項証明書(直近の年度のもの)
・固定資産税評価証明書 - 借地権,借家権を証明する文書
賃貸借契約書写し及び賃借中の不動産の登記事項証明書等 - 預貯金
預貯金の通帳又は相続開始時の残高証明書 - 株式,社債,投資信託,保険,出資金等
証書・証券の写し,残高証明書等 - 債務
消費貸借契約書,担保設定契約書等
- 不動産
- 遺留分侵害額請求権を串したことを示す資料
内容証明郵便(配達証明も必要です)など
調停委員について
調停の場には,2名の調停委員がいますが,大規模な裁判所の場合,そのうち1名は弁護士であることが多いです。
調停の実際
遺留分侵害額請求調停は,当事者において,遺産の範囲,特別受益,生前の預貯金の引き出しなどで激しく対立することが多く,裁判所が間に入っても,合意に至れないことも結構あります。その場合,話し合いの見込みがないとして,調停は不成立になります。調停が不成立になった場合,家庭裁判所で裁判をしてくれるわけではなく,改めて地方裁判所に裁判を起こすことになります。
遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)の解決事例
2019年7月施行の民法改正により、それまで「遺留分減殺請求」と呼ばれていた手続きが、「遺留分侵害額請求」という名称に変わりました。2019年6月30日以前に発生した相続については、遺留分減殺請求という手続きであったため、解決事例名が遺留分減殺請求となっています。
遺留分減殺請求(旧法)と遺留分侵害請求(現法)の大きな違いは、遺留分減殺請求では財産の現物返還が原則だったものが、遺留分侵害額請求は金銭請求のみになったという違いがあります。