遺留分減殺請求訴訟 (事例2)
事案の概要
被相続人甲が子Yに一切の財産を相続させる旨の遺言をしていたため,別の子XがYに対し遺留分減殺権の裁判を提起したケース。当職は,Xの代理人となって訴訟活動を行いました。
このケースでは,被相続人甲が生前,自分の預貯金と亡夫乙から相続した預貯金のうち,約8,000円以上を引き出していましたが,その使途が不明となっていたため,それを遺留分算定の対象財産に含めるかが問題となりました。
こちらは,被相続人甲が80歳半ばを超える高齢で,月10万円程度で慎ましく生活していたことから,8,000万円以上の金員を費消したとは考えられず,これらは,被相続人のもとを頻繁に訪れていた子Yに贈与等されたものであり,子Aの特別受益に当たる旨を主張しておりました。
一方で,子Aは8,000万円もの大金をもらったことはないなどと反論しておりました。
第一審では,相手方の主張が認められてしまいました。
しかし,控訴審では,被相続人甲が80歳半ばを超える高齢で,月10万円程度で生活していたことからすれば,甲が自ら8,000万円もの多額の現金を費消したとすることは極めて不自然である等として,こちらの主張どおり,払戻金8,000万円ないしこれと同等の価値の遺産が残っていたものと判断されました。
その結果,遺留分の額を,約1,000万近く増額させることが出来ました。