【相続】遺産分割方法の指定とは?

遺産分割方法の指定とは,遺言において遺産分割の方法を指定することです。
これは,協議分割・調停分割・審判分割とならぶ遺産分割の手続形態です。
本コラムでは“遺産分割方法の指定”について,その種類や遺産分割方法の指定において起こりうる問題について解説したいと思います。

目次

遺産分割方法の指定の種類は?

指定の方法として以下の4つが考えられます。

1.分割指針型

「不動産はXが取得し,その他の遺産は他の共同相続人で分割せよ。」
というような遺言です。
しかし,これ自体では抽象的な指定であるため,権利移転の効力は生じません。

2.手段指定型

法定相続分をそのままにして,相続財産をどのように配分するかについての方法を指定するものです。

相続財産の配分方法
・現物分割,等価分割,代償分割のうちどれか
・もしくはそれらを組み合わせて分割するか  等

この方法は遺産分割審判の判断基準になると考えられています。

3.帰属指定型

「Xには不動産を,Aには預金を,Bには株式を取得させる。」というような遺言です。
特定財産の権利は,当然に特定相続人に移転します。

平成三年4月19日最高裁判所判決は「相続させる」旨の遺言について,
遺産分割方法の指定であり,それ自体に直接権利移転の効力が肯定されるという解釈を示したため,
遺産分割方法の指定であっても,権利移転の効力が肯定されることになりました。

4.清算型

「不動産を売却,預金を取り立てて,有価証券を換価して,借財を完済した後
残った財産を共同相続人でそれぞれ,1/3の割合で分割せよ」というような遺言です。
共同相続人は事実上これに拘束され,遺産分割審判では換価分割の方法が採られることになります。

遺産分割方法の指定と相続分の変更

遺産分割方法の指定において,上記3の“帰属指定型”を遺言で指定された場合,以下のような問題が起こることもあります。

指定された財産の価額が当該相続人の法定相続分を越える場合

相続分の指定を含む遺産分割の指定がされたと考えられています。
例えば相続人の法定相続分が1/4で,指定された財産の価額が遺産総額の70%に相当する場合
その相続人は残り30%の遺産についての相続分はなく,他の相続人が取得することになります。

指定された財産の価額が当該相続人の法定相続分を下回る場合

相続人の公平性の観点から,相続分の指定を含む遺産分割の指定がされたとは考えるべきではないかと思われます。

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