遺産分割調停申立ての準備ー必要な証拠関係書類や遺産の調査についてー
前回のコラムでは遺産分割調停に関するQ&Aをまとめました。
今回は,遺産分割調停を申し立てる際に必要な証拠関係の書類や,遺産の調べ方についてご紹介します。
遺産分割調停申立てに必要な証拠関係書類
①戸籍関係
ア 被相続人が生まれてから死亡するまでの間に在籍した全戸籍の除籍謄本・改正原戸籍謄本
イ 相続人全員の戸籍謄本
ウ 相続人全員の戸籍の附票(取得後3ヶ月以内)
②遺産関係の資料
ア 不動産
・登記簿謄本又は全部事項証明書(取得後3ヶ月以内)
・固定資産税評価証明書(直近の年度のもの)
・住宅地図,公図の写し
・建物の平面図
イ 借地権,借家権を証明する文書
賃貸借契約書,賃借中の不動産の登記事項証明書等
ウ 預貯金
預貯金の通帳又は相続開始時の残高証明書
遺産分割前の相続預金払戻し制度を利用した場合はその旨の証明があるもの
エ 株式,社債,投資信託,保険,出資金等
証書・証券,残高証明書等
オ 自動車
車検証(自動車検査証)の写し
③債務関係の資料
消費貸借契約書,担保設定契約書等
④前提問題関係
ア 遺言書の写し
イ 遺産分割協議書の写し
ウ 協議不成立に終わった遺産分割協議書の案の写し
エ 前相続に関する遺産分割協議書の写し
遺産分割調停関係の書類はどこで取り寄せればいいのか
①戸籍謄本,戸籍謄本の附票 本籍地の市町村役場,戸籍担当係
② 住民票関係書類 住民地の市町村役場,住民登録担当係
③不動産の登記簿謄本又は全部事項証明書,土地の公図,建物の平面図
物件所在地の法務局,支局,出張所の不動産登記部門
④固定資産評価証明書 不動産所在地の都・県税事務所又は市区町村役場・固定資産税担当係
⑤車検証(自動車車検証) 通常,自動車に積載しておくことが義務ですが見つからない場合,
各運輸支局で再発行
どういった方法で遺産を調査できるのか
①不動産
不動産の有無に関しては,相続人が保管している(貸金庫にある場合があります)登記識別情報通知書,権利 証(登記済証),固定資産税納付通知書(課税通知書),固定資産税・都市計画税の課税明細書,固定資産課税台帳,全部事項証明書(登記簿謄本),名寄帳(非課税物件の確認ができる)等などから,調査することが可能です。
②預貯金
通帳,届出印鑑,証書などから,預貯金の存在と内容を確認し,残高証明書を取得することで金額が判明します。
③貸金庫
貸金庫契約書により管理されている銀行に確認します。
銀行には被相続人の戸籍謄本及び相続人全員の印鑑証明書を提出する必要があります。
相続人全員の立会によって,貸金庫の開扉と格納品の搬出が行われます。
④株券等の有価証券
証券,証書,株券,取引残高報告書等によりその存在と内容を確認し,残高証明書を取得することで金額が判明します。
⑤借地権
登記事項証明書,賃貸借契約書等によって,権利内容を確認します。
⑥債権
契約書や証書などによって,権利内容を確認します。
⑦自動車等
車検証や保険証券によって,権利内容を確認します。
⑧保険
保険証書や通知書等によって,権利内容を確認します。
遺産分割調停申立ては弁護士にご相談をおすすめします。
遺産分割調停は必要書類の作成や収集等,想像以上に大変で時間と労力を要します。
また,専門的な知識も必要になります。
弁護士に相談していただき,ご相談者様の状況に応じた適切なアドバイスを受けられてみてください。