不動産の売買契約で失敗しないためのポイント
不動産は重要な財産であるため、契約書を作成するのが一般であり、一般取引上は契約書を作成した時が売買契約締結の時となることが多いといえます。
今回は、不動産売買契約する上で失敗しないためのポイントについて解説します。
不動産売買契約で失敗しないために
不動産を購入する場合,宅地建物取引業者を通じて購入することが多いです。
宅地建物取引業者から土地・建物を購入する場合には業者の側で重要事項説明が必要とされています。
具体的には、その不動産に関する登記された権利の種類・内容などの法定の事項について説明です。
重要事項説明について宅建業者が事実と異なることを告げ、これを事実と誤認して契約者が契約の申し込み・承諾の意思表示をした場合は、売買契約を取り消すことができます。
売買時に確認すべきこと
登記簿とは土地・建物の所在地や所有者に関する情報が記載された帳簿のことをいいます。不動産を購入する際は,登記簿で以下の事項をしっかりと確認しましょう。
- 売主がその不動産を所有しているのか
- 売主の他,共有所有者がいるか
- 抵当権など制限物権が設定されているか?
建物を買う場合、その建物が賃貸されていても建物の借家権は登記簿謄本には表示されません。
そこで、実際に建物を買った後に、その建物が賃貸されていたためにその建物を使用することができなかった、という不利益を被らないように、建物を実際に調査する必要があります。
土地についても、登記簿上の面積と実際の面積の違いや形状、近隣の状況などを実際に調査する必要があります。
土地を買ってその上に建物を建てようとする場合、建物の種類・建ぺい率・容積率・高さ制限などが法律により規制される場合があります。
それが都市計画法上の用途地域です。
用途地域は、住居・商業・工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、第一種低層住居専用地域など12種類があります。
用地地域は、各地方自治体で販売している都市計画図で確認することができます。
申込証拠金について
申込証拠金とは、マンションや建売住宅の分譲販売の際、購入希望者から販売業者に対し交付することのある金銭を言います。
申込証拠金は不動産取引実務の中で生じてきたものであり、法律上規定のあるものではありません。
そのため、申込証拠金の法的性格については争いがありますが、購入希望者の購入意思の確認と、当該希望者の申込み優先順位の確保を目的として預託される金銭であるとする考え方が有力です。
また、申込証拠金は売買契約成立前に交付されるものであるとするのが一般的です。
申込証拠金を交付する場合は、売主から預かり証の交付を受けましょう。
申込証拠金は、売買契約をキャンセルした場合、返還される場合が多いです。
売買契約に際しての手付の交付について
不動産売買契約を締結する場合は、不動産の重要性から契約の締結の際、手付を交付することが多く行われます。
手付はいわゆる解約手付と推定され、契約の相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄することによって契約が解除でき、売主は手付の倍額を支払うことによって契約解除ができます。
また、契約が解除された場合は互いに損害賠償請求ができません。
これはあくまで法律上の推定ですから、当事者でこれと異なる取り決めを行うこともできます。
そこで、手付を交付する際は売買契約書内において手付の法的性質を明記する必要があります。
なお、宅建業者が売主となっている場合は、法律上、解約手付となります。
相手方が契約の履行に着手した場合は、手付によって解除することはできなくなります。
農地の売買に関する注意点は?
農地を売買する場合で、買主がその農地を農地として使用する場合は、農業委員会または都道府県知事の許可が必要となります。
また、買主が農地を農地として使用しない場合も、原則として許可が必要となります。
農地法の許可が必要な場合において、許可よりも先に売買契約を締結しても契約は有効ですが、土地所有権は許可がなければ移転しません。
そこで、農地を売買する場合は、契約書に「許可が得られなかった場合は、当然に契約を解除する」との条文を入れる必要があります。
個別の契約書については、弁護士にご相談下さい。
次回は不動産賃借契約で失敗しないためのポイントを解説します