賃金返還請求
事件の概要
30年来の友人X(A会社の代表取締役)から,「当座預金口座の残高が足りない」,「潰れたら困るが,色んなところ行ったが誰も貸してくれない。貸して欲しい」などと言われ,約7年の間に,合計約450万円をA会社に貸していました。
友人Xの生前には,貸金の一部が返済されていましたが,その友人が死亡し,友人Xの息子がA会社の代表取締役に就任すると,約450万円の金員が,貸金であるのか,何らかの投資資金なのか不明という理由で,返済を拒んで来たので,やむを得ず,A会社に対し訴訟を提起しました。
借用書がなく,また依頼者が送金していた口座が,友人Xの個人口座であったため,裁判では,仮に貸付があったとしても,X個人への貸付であり,A会社には,返還義務がないのではないかが問題となりました。
結果
全面勝訴判決
判決理由
「・・・原告が,Xから,生活費が足りないから貸してほしいと言われて本件貸付金を交付したことはなく,Xが個人的な理由で資金需要があった事情がうかがわれないこと,本件貸付金がXの口座に入金された日かその翌日に,A会社の口座にその送金額と同額か倍額又はそれに近い金額が入金されており,本件貸付金がXからA会社へ移動したことがうかがわれること等に鑑みれ,Xは,会社の代表者として原告と金銭消費貸借契約を締結し,金銭の交付を受けたと認めるのが相当である。」