【相続】投資信託、ゴルフの会員権、暗号資産・・・遺産分割の対象になるもの、ならないものはどれ?特殊な遺産について解説します!

目次

特種な遺産について

以下の財産については,遺産分割の対象となるのか,それとも,当然に相続人固有の財産となるのか問題となります。つまり,遺産分割の対象となる場合には,誰が取得するのか,どれくらい取得するのかは相続人間で話し合って決めることになりますが,相続人固有の財産になる場合には,既に誰がどれくらい取得するかは既に決まっているため,遺産分割協議を得るまでもなく,相続人は財産を取得出来ます。

投資信託

投資信託は,運用裁量権を誰が有するかにより,投資信託委託会社(運用会社)が委託者として運用の指図を行う委託者指図型投資信託と受託者(信託銀行)が複数の委託者から資金を集めて自ら運用を行う委託者非指図型投資信託に分類されますが,前者が主流になっています。
最高裁平成26年2月25日判決は,委託者指図型投資信託について,当然に分割することを否定し,遺産分割の対象となることを認めました。
ただし,現在は,多様な商品が販売されており,当然に分割の対象となる投資信託商品もあり得るため,その性質を,取扱銀行,証券会社等に問い合わせておく必要があります。

国債

最高裁平成26年2月25日判決は,共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないとして,遺産分割の対象となることを認めました。

株式会社における株式

最高裁平成26年2月25日判決は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないとして,遺産分割の対象となることを認めました。

生命保険金

  • 保険受取人が指定されている場合

保険契約者(被相続人)が自己を被保険者とし,特定の相続人を保険金受取人と指定した場合,指定された相続人が固有の権利として保険金請求権を取得します。そのため,遺産分割の対象とはなりません。

  1. 保険金受取人が指定されていない場合

保険契約者(被相続人)が生命保険金の受取人を指定していなかった場合や,単に「相続人」としてしか指定していなかった場合,相続発生と同時に相続人の固有財産となるため,遺産分割の対象とはなりません。各相続人が法定相続分の割合にしたがって取得します。

  1. 満期保険金

満期保険金は,満期到来と同時に被相続人の財産となります。そして,被相続人が満期保険金を受け取る前に死亡した場合は,預貯金と同様,遺産分割の対象となると考えられています。そこで,遺産分割協議等によって,取得者が決まります。

死亡退職金

死亡退職金は賃金の後払いの性格を有していることから,被相続人の財産とも考えられまが,遺族の生活保障としての性格も有しているため,相続人固有の財産とも考えられます。死亡退職金について,遺産分割の対象とするかについては確立した基準はなく,実務上,退職金の支給規程等をもとに,個々の事案毎に判断することになっています。

社債

社債は当然に分割されるのではなく,遺産分割の対象になると考えられています。

ゴルフ会員権について

  1. ゴルフ会員権の種類

ゴルフ会員権は,預託金制,株主会員制,社団法人制の3種類があります。
預託金制の場合,会員は,入会時に一定の資金をゴルフクラブに預託し,ゴルフ場施設を優先的に利用しうる権利や退会時に預託金を返還請求しうる権利を有します。その一方,経営に対して,口を出すことはできません。
株主会員制は,会員が,ゴルフ場を利用出来る権利だけでなく,ゴルフ場を所有する会社の株主としての地位を有しているため,株主総会で議決権行使をするなどして会社経営に関与することが出来ます。
社団法人制は,ゴルフ場経営と会員組織が分かれておらず,会員は社団法人の社員でもあり,クラブのメンバーでもあります。そのため,メンバーの権利が非常に強い会員制度で,ゴルフ会員権の譲渡が厳しく制限されています。

  1. 遺産分割の対象となる場合
  • 預託会員制のうち会則で相続性を認めている場合
  • 会則に相続についての定めがない場合
  • 株主会員制の場合
  1. 遺産分割の対象とならない場合
  • 預託会員制のうち会則で相続性が認められていない場合
  • 社団会員制

この場合,相続人は,預託金返還請求権などの権利を法定相続分の割合等に従って,当然に行使することが出来ます。

知的財産権

著作権,工業所有権(特許権,実用新案権,意匠権,商標権),商号権などは遺産分割の対象となります。

営業権

営業権とは「のれん」と呼ばれるものです。
最高裁昭和51年7月13日判決で,「営業権とは,当該企業の長年にわたる伝統と社会的信用,立地条件,特殊の製造技術および特殊の取引関係の存在並びに独占性等を総合した,他の企業を上回る企業収益を獲得することができる,無形の財産的価値を有する事実関係である」と権利性を否定されました。
従って,原則として遺産分割の対象とはなりません。しかし,ある相続人が相当な価値を有する営業権を取得した場合に一切遺産分割で考慮されないと,相続人間で不公平になりますので,そういった場合には考慮されることもあります。

暗号資産

ビットコインなどの暗号資産が相続の対象になるかについて,現時点において,判例はありません。しかし,税務上,一定の財産的価値を有するものとして,相続税又は贈与税の対象とされていることから,相続の対象になると考えられています。

また,相続されるとして,それが遺産分割手続きを経ず,当然,分割されるのか,それとも遺産分割協議等によって,取得者,取得割合が決まるかですが,これについても,現時点で判例はありませんが,遺産分割によって決まると考えられています。株式会社DMM Bitcoinも,暗号資産の相続手続きに遺産分割協議書や家庭裁判所の調停調書,審判書などの提出を求めており,このことからも遺産分割手続きを要するとものと解釈出来ます。

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