
現在でも被害多発!マルチ商法の断り方や相談先について弁護士が解説!

マルチ商法は1970年代から存在しており,ピーク時よりは減少しておりますが,今もなお被害が多発しているようです。
マルチ商法と聞くと,商品販売して会員を勧誘し,組織を拡大していく商法を想像すると思いますが
最近では「物なしマルチ」といって商品やサービスを販売せず,単に会員を増やして利益を得る方法もあるようで,特に若い世代が被害に遭っているようです。
現在でも被害があとを立たないマルチ商法ですが,もし自分が被害に遭ってしまった場合どのように対応すれば良いのでしょうか。
マルチ商法とは

まずは,マルチ商法の概要について解説します。
マルチ商法(ネットワークビジネス、MLM:Multi-Level Marketing)とは、商品やサービスを販売しつつ、新しい販売員(会員)を勧誘して組織を広げていく販売方式のことです。
会員は自身の販売利益に加え、自分が勧誘した人の売上からも報酬を得られる仕組みになっています。
マルチ商法は違法?
マルチ商法そのものは合法ですが
- 誇大広告や勧誘時に虚偽の説明をすること(絶対に儲かる!等)
- 違法な勧誘行為を行うこと(強引に勧誘する,勧誘目的を隠す)
- 実態のない商品・サービスを販売する
これらの行為を行うと,特定商品取引法違反に該当する恐れがあります。
なぜトラブルが多く発生するのか?
マルチ商法そのものは合法と説明しましたが,トラブルが後を絶たない理由は
- 収益の保証がなく,多くの人が損をする可能性がある
- 友人や家族間での勧誘が多く断ったり,途中で辞めづらい
- ねずみ講(違法)と混同されやすい
といった点が挙げられます。
物なしマルチとは?
「物なしマルチ」とは、実際の商品やサービスの販売を伴わず、単に会員を増やすことで利益を得るマルチ商法の一種です。これは日本の特定商取引法で違法とされている、「無限連鎖講(ねずみ講)」に該当する可能性が高いです。
物なしマルチの特徴としては「会員権」や「投資」と称して会員から高額金銭を集めます。
既存の会員が新規会員を勧誘し,その会費や出資金の一部が上位の会員に分配されます。
そのため,組織が拡大しないと新しく入った人は損する仕組みとなっています。
また,会員権や投資で利益を得ると勧誘しますが,会員の特典や投資の実態がなく,あくまで新規会員から集めた金銭が収益源となっています。
どんな感じで勧誘されるのか?

マルチ商法によくみられる勧誘方法は長期間会っていない友人や知人からの誘いです。
最近ではSNS上で「スマホがあれば稼げるよ!」といって副業や投資の話を持ちかけられ,それが結果マルチ商法だったというケースもあります。
また「成功者に会える!」といった自己啓発セミナーや勉強会に誘い,マルチ商法の上位会員を成功者と称し,
豪華な暮らしやブランド品を見せつけながら話をして勧誘するケースもあります。
マルチ商法に誘われた場合には“うまい話には裏がある”と意識して,慎重に情報を判断しましょう。
- ネットや口コミの評判を検索する等,情報を調べる
- 「今日参加しなければ損をする!」等勧誘を急かす場合には警戒する
- 「絶対に儲かる」「リスクはない」と言った話は信用しない
- セミナーの勧誘や勉強会は参加する前に内容を確認しておく
- 怪しいと思ったら,勧誘者以外の人間に必ず相談する
こういったことが大切です。
もし,怪しい勧誘かなと思った場合には

会員の特典ってなにがあるの?
リスクのない投資って具体的にどんな商品に投資しているの?
会社を経営してるらしいけど具体的なビジネスモデルを教えて!
など,質問して詳細を確認しましょう。具体例を挙げられなかったり,はぐらかされた場合には悪質なマルチ商法である可能性が高いです。
マルチ商法の断り方


マルチ商法の勧誘を断るためのコツはこの3点です。
- 曖昧に断らず,きっぱりと「やらない!」と伝える。
→「ちょっと考えておく・・・」と言うとなんども連絡が来る可能性があります。
自分の意思をしっかりと伝えましょう! - SNS(LINEやインスタグラム等)や連絡先をブロックする。
- 情報リテラシーを高めておく。
→メディアやインターネットから得た情報を自分自身で正しく理解・判断できれば,マルチ商法のほか詐欺等にもだまされにくくなります。
家族や友人等近しい人からの誘いの場合



一緒に食事するの久しぶりだね!
そういえば,最近始めたビジネスがすごく儲かっていてね!
ぜひ友人である君にも紹介したいんだ!



へぇ。でもお金の話には慎重なタイプなんだ。
それに今の仕事や給料に満足しているから,僕はやらないよ!
怪しいセミナーや勉強会に誘われた場合



今度うちの社長がマネーセミナーを開催するのですが参加しませんか?
実は社長,数年前まで普通の会社員だったのですが
起業して半年で1億を売り上げたんです!
成功者の話聞きたくないですか?いまなら無料で参加できますよ!



社長のお名前や会社名を教えてくれますか?
ネットで検索して,業績や口コミを確認してから検討します。
SNSで知り合った人から誘われた場合



今日は楽しかったです,またデートしましょう。
結婚など将来のことも考えていきたいです。
これからたくさんお金がかかると思うので一緒に投資を始めませんか?
ノーリスクハイリターンのおすすめの銘柄があるんですよ。



えっ,急に投資の話ですか?
すみません,アプリで知り合った人からのお金の話は怖いので
ここでブロックさせてもらいます!


断る=悪いこと ではありません。自分の意思をはっきり示すことが大切です。
マルチ商法等の相談先


怪しい勧誘を受けたり,実際に会員になってしまい抜け出せなくなった場合の相談先を以下にまとめました。
名称 | 詳細 |
---|---|
消費生活センター | 最寄りのセンターに全国共通で自動で繋がる番号(188)があります。 マルチ商法含むトラブルの相談窓口があります。 土日でも対応してくれる地域もあります。 |
国民生活センター | 全国からの悪質商法に関する相談を受け付けております。 高額な被害や特殊なケースにも対応してくれます。 |
金融庁 | 投資型マルチ商法の場合は金融庁へ相談することをお勧めします。 投資詐欺や金融商品トラブルの窓口があります。 |
その他 | 詐欺や脅迫行為があったり,緊急性の高い場合には警察へ相談しましょう。 また,契約トラブルに関しては弁護士へ相談することもよいでしょう。 |
まとめ


マルチ商法(物なしマルチ)の被害は現在でもあるようです。
マルチ商法等の詐欺的な勧誘に巻き込まれた場合には,被害が拡大する前に専門機関へ相談することをおすすめします。
また,勧誘を受けた際にははっきりと断り,しつこくされた場合には連絡を絶つことも大切です。
自分の大切な時間やお金を守るためにも毅然とした態度で対応しましょう。
マルチ商法の被害に遭った際には弁護士に相談することもできます。
例えば,勧誘側がクーリングオフの権利を認めないなど違法な対応をしている場合には法的措置をとることができますし
脅迫など威圧的に勧誘されトラブルになった場合には,勧誘者へ警告書面を送ることも出来ます。
このような問題に弁護士が介入すれば,相手(勧誘側)への圧力となり問題が解決することもあります。
1人で悩まずに,自分に最適な相談先へ相談しましょう。