
相次ぐ脱毛サロンの倒産・・・施術を受けていない分の返金トラブルや契約上の問題について解説!

美容医療の中でも脱毛はサロン数が多く,効果も実感しやすいため,男女ともに人気の施術となっています。
しかし最近、脱毛サロンの突然の閉店や倒産が相次いでいるとのニュースをよく耳にします。
中には数十万円もの費用の前払いをしていたにもかかわらず、施術が途中あるいは一度も受けないまま返金が受けられないという深刻なトラブルに巻き込まれた人もいらっしゃいます。
こうした脱毛サロンのビジネスモデルには“前金ビジネス”の落とし穴が潜んでいます。
お得に見えるまとめ払いや通い放題プランも、サロンの経営が傾けば一瞬で“泣き寝入り”に変わる可能性があるのです。
今回は、脱毛サロンを例に、前払い型ビジネスに潜むリスクや、契約前に確認すべきポイントや被害に遭った場合の法的対応について解説します。
なぜ脱毛サロンは前払い制が多いのか?

脱毛サロンでは、回数パックや通い放題プランなど、あらかじめまとまった金額を支払う前払い制が一般的です。
その理由の一つは、サロン側にとって安定した売上が見込めるというメリットがあるからです。
脱毛は複数回の施術が必要なサービスであり、都度払いよりも長期契約で顧客を確保したほうが、事業計画が立てやすくなります。
また、利用者にとっても都度払いより割安なように感じてしまったり,キャンペーン価格でお得といったセールストークに惹かれやすい点も、前払い制が広まった要因です。
さらに最近では、信販会社を通じたローン契約やクレジットカードの分割払いを利用して、実質的に高額な契約を前払いさせる手法も増加しています。
前払い制に潜むリスク
ただし、こうした前払い制にはリスクも伴います。
たとえば、施術途中でサロンが倒産した場合、前金の大部分が戻らない可能性があるのです。
サービスの提供が長期に渡るにもかかわらず、代金を先に支払わせるこのビジネスモデルは、特定商取引法の対象にもなりうるため、契約内容の確認が非常に重要になります。
脱毛サロントラブル事例

脱毛サロンの前払い制には、多くの人が思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
ここでは、実際によく見られる3つのケースを紹介します。
高額なコースを契約した後,サロンが突然閉店
SNSで「今だけ◯万円オフ!」という広告を見て、数十万円の全身脱毛コースを契約。
しかし、数回通ったあと突然「サロンが閉店します」との一方的な通知が来ます。
その後問い合わせをするも電話もつながらず、返金もありません。
実は経営難だったが、それを伏せて契約を結ばせていたという例もあります。
途中解約を申し出たが返金されなかった
施術の効果が感じられず、途中で解約を希望したものの、「返金はほぼできません」「解約の際は違約金が発生します」と言われてしまうケース。
契約書に詳細な返金規定がなく、泣き寝入りするしかなかったという人も少なくありません。
信販ローンを組まされ,施術前から支払いだけが続く
サロンスタッフに勧められるまま、信販会社を通じたローン契約を結びました。
しかし実際は施術は予約が取りづらく、まともに通えない状態となってしまいました。
それでもローンの支払いは止まらず、「施術を受けてないのに毎月ローンを払わされている・・・」と悩むケースも多発しています。
これらのトラブルは、いずれも「前払い制であること」が根本原因です。契約前にリスクを理解し、慎重な判断を下すことが不可欠です。
脱毛サロン倒産後に返金請求はできるのか?

脱毛サロンが倒産した場合、前払いした料金は戻ってくるかというと、結論として返金される可能性は非常に低いのが現実です。
民事再生や破産になれば原則として返金は難しい
サロンが破産や民事再生手続を開始すると、前払い金を支払った顧客は一般債権者として扱われます。
これは、他の多くの債権者(取引先や金融機関など)と同列で、優先的に返金される立場ではありません。
そのため、仮にわずかな配当があったとしても、戻ってくる金額はごく一部にとどまることがほとんどです。
ただし、例外的にクレジットカード決済を利用していた場合には、支払取消制度が使える可能性があります。
たとえば、施術を全く受けていない、または一部しか提供されていない場合、カード会社に申請すれば未提供分の代金について支払いを取り消せることがあります。
申請には期限があるため、早めの対応が必要です。
契約書をもう一度確認しよう!
また、契約時の勧誘内容によっては特定商取引法が適用されるケースもあります。
特商法では、一定の条件を満たすエステ契約に対し、クーリング・オフや中途解約による返金請求が認められており、返金規定が不当な場合は是正を求められる可能性もあります。
契約書の内容、支払方法、勧誘の仕方などによって、対応策や返金の可否が大きく異なります。
脱毛サロンの倒産で被害に遭った場合は、早めに消費生活センターや弁護士に相談することが大切です。
契約前に注意すべきポイント

脱毛サロンでのトラブルを未然に防ぐには、契約前の見極めが何より重要です。
ここでは、前払い契約を結ぶ前に必ず確認しておきたいポイントを紹介します。
ポイント1:返金や中途解約のルールは明記されているか
契約書やパンフレットに、「途中解約は可能か?」「どのような条件で返金されるのか?」が明記されているか必ず確認しましょう。
あいまいな表現や、口頭でしか説明されていない内容には要注意です。
特定商取引法に基づくエステ契約では、中途解約時に残金の返還を求める権利がありますが、違約金などの名目で不当に差し引かれるケースも少なくありません。
ポイント2:支払方法の検討
現金払いやローン契約は、後の対応が難しくなりがちです。
高額な契約は、クレジットカード払いにするのが無難といえるでしょう。万が一、サービスが提供されなかった場合は、支払いを停止できる可能性があります。
ポイント3:即日契約はしない
「今日契約すれば◯万円オフです」といった即決を迫るセールストークは、典型的な落とし穴です。
契約は一度結ぶと簡単には取り消せません。持ち帰って検討することに後ろめたさを感じる必要はありません。
また,契約の前にSNSやGoogleの口コミ、消費者庁の注意喚起情報などをチェックし、過去にトラブルがなかったかを確認することもおすすめです。
脱毛サロンの倒産や契約トラブルの被害の相談先

脱毛サロンの倒産や契約トラブルに巻き込まれてしまった場合でも、まずは冷静に状況を整理し、適切な機関へ相談することが大切です。
消費生活センターへ相談
まずはお住まいの地域の消費生活センター(#188)へ相談をしましょう。
過去の同様の事例や対応策を教えてくれるほか、事業者との交渉を代わりに行ってくれる場合もあります。
集団的な被害が発生していれば、注意喚起情報として広く共有されることもあります。
弁護士へ相談
被害額が大きい場合や、事業者と全く連絡が取れない場合には、弁護士に相談することも有効です。
破産・民事再生の情報確認や、債権届出の手続き、場合によっては少額訴訟などの法的手段が考えられます。
また、同様の被害者が多い場合には、集団訴訟や共同での請求も視野に入ります。
まとめ

脱毛サロンのトラブルは、決して一部の人だけに起きている特殊な話ではありません。
お得なキャンペーンや綺麗な店内に惹かれ、軽い気持ちで契約してしまった結果、思わぬ損失を抱えてしまうケースが後を絶ちません。
サービスの内容だけでなく、「どのような契約形態なのか」「お金の支払い方にリスクはないか」を見極める目を持つことが、これからますます大切になっていく時代です。
もし少しでも不安を感じたら、一度立ち止まって、家族や専門機関に相談することが大切です。