
美容医療のトラブルが急増中!契約や施術で失敗しないために知っておくべき注意点とは!?

美容クリニックの数は年々増加しており,それに伴い医業利益も大幅に伸びています。
また,SNSの影響によりルッキズム(外見至上主義)が助長され,美容医療に興味を持つ人も増加しています。
これにより,美容医療が我々にとって身近なものとなり,現在では多くの方が利用されているものと思われます。
しかし一方で,美容医療に関するトラブルも多く報告されています。
手軽にキレイになれる美容医療ですが,実際にどんなトラブルに巻き込まれるのか?そしてトラブルに遭った際にどのように解決すればよいかについて考えていきましょう。
美容医療において発生しやすいトラブル

美容医療サービスでの法律トラブルは,美容医療市場の拡大とともに増加しています。
消費生活センターに寄せられた美容医療サービスの相談件数は2018年度は1980件ほどでしたが2022年度には3709件にのぼり,5年で約2倍増加しているとのことです。
美容医療が身近になった理由
『美容医療』と聞くと整形・時間がかかる・高価・・・などのイメージを持っている方もいらっしゃると思いますが,
クリニックの増加とともに競争が激しくなり,手頃な価格で施術を受けることが可能になったり
レーザー治療や脱毛,ヒアルロン酸の注射など施術時間が短く,日常生活に支障が少ない“プチ整形”の人気が拡大しています。
またひげの脱毛や薄毛治療,ホワイトニング等男性向けの施術メニューもあるため,男性も気軽に利用できるようになりました。
このように,美容医療は性別に関係なく,自己肯定感を向上させる手段として多くの方が施術を受けるようになりました。
美容医療で起こりうるトラブル
以前よりも手軽に利用できるようになったという良い面もありますが,トラブルに巻き込まれる例も増えてきています。
施術ミス
脂肪吸引やレーザー治療などでの火傷や,未熟な技術者による不適切施術がこれに該当します。
また,無資格者が医療行為を行っていた場合には法律違反になることもあります。
説明義務違反
施術前にリスクや副作用に関しての説明が十分になされなかったために,患者がリスクを正しく理解できていないまま施術を受けてしまうこと。
また,SNSや広告での誇大広告も法的問題になる場合があります。
契約・解約トラブル
キャンセルや返金をめぐるトラブルが非常に多いです。
初回施術後に高額な定期コースを強引に契約させ,後になって解約を申し出ると高額な解約手数料を請求されるケースもあります。
また,契約後すぐに解約を申し出たにもかかわらず対応せず,結果としてクーリングオフの期間を過ぎてしまうといったケースもあるようです。
トラブルの具体的事例について

美容医療・エステに関するトラブルの具体例には以下のようなものがあります。
強引な勧誘で契約してしまったプランを解約したい

1回きりのひげ脱毛をしようと思ったのに,今日契約しないと50%割引が受けられないと言われて50万円の脱毛プランを契約してしまった。
あとから確認すると予約も取りづらいサロンだし解約したい・・・。
でも規約には解約にもお金がかかるみたいだ・・・。
脱毛サロンの店員の強引な勧誘に断り切れなくなってしまったものと推測されます。
家に帰って,「やっぱりあの契約を解除したいな・・・。」と思った場合には8日以内であれば無条件で解約できます。また,支払ったお金も返金してもらえます。
医療脱毛等一部の美容医療サービスは,期間1ヶ月以上,金額が5万円を超える場合にはクーリングオフができます。
クーリングオフの手続き方法は以下の通りです。
- 書面またはメールで通知
契約先に「クーリングオフを行使する」と明記し契約解除の意思を伝えます。 - 送った書類はかならず記録に残す。
送った書類の写しや,送付時の配達証明は保管しておきましょう。
書面で通知する際には内容証明郵便を利用することをおすすめします。
明らかに仕上がりがおかしいのにお直し保証対象外となった



二重整形施術をうけてしばらく経つけど,左右で仕上がりが全然ちがう・・・
保証付きの契約をしたのに,担当者にはなぜか保証条件の対象外といわれ,修正するにはまた費用がかかるみたい・・・。
仕上がりに関しては,施術者の技術不足や,術前のカウンセリング不足が考えられます。
また保証に関しては事前の説明不足が考えられます。
美容医療を受ける際には保証の内容や範囲(期間や条件)を確認しておくことが望ましいでしょう。
また,保証条件等に関しては専門機関へ相談することもおすすめします。
公益社団法人日本美容医療協会のホームページでは,過去に質問のあった事例やオンラインで相談することが可能です。
薄毛治療(AGA)でのトラブル



薄毛治療の広告を見てカウンセリングを受けに行きました。
すると担当医から「薄毛治療は早いほうがよい」と勧められ,
言われるがままに高額な治療のコースを契約してしまいました。
しかし家に帰って調べてみると,多くの副作用のリスクがあることを知り不安になりました。
やっぱり治療を辞めたいと思っています・・・。
薄毛治療に関するトラブルの相談件数は特に増加しており,東京都消費者生活総合センターへの相談件数は2018年から2022年の4年間で3倍ほど増加しているとのことです。
相談内容としては“高額な契約を解約したい”というものが多いとのことです。
しかし薄毛治療は保険がきかない自由診療のため,料金が高額になりやすく,また原則としてクーリングオフの対象にはならないのです。
薄毛治療を行う際には,担当者へリスクの確認を必ず行い,保険がきかないこと・クーリングオフの対象にならないことを念頭に置いて契約することをお勧めします。
トラブルを未然に防ぐためにやっておきたいこと


美容医療のトラブルを避けるためには
- 契約書は隅々まで確認する
特に費用総額・解約条件・施術範囲・回数は自分の目でしっかりと確認した上で契約しましょう。
「特記事項」にも重要な情報が記載されていることがあるため見落とさないようにしましょう。 - クーリングオフについて知っておく
契約から8日以内であればクーリングオフが可能です(一部例外あり)。
クレジットカード払いの場合,カード会社へ連絡することも忘れないようにしましょう。 - 信頼できるクリニック・サロンを選ぶ
口コミも大切ですが,まずは医師・専門家の資格があるかを確認しましょう。 - 証拠を残しておく
契約書の保管はもちろんのこと,返金の対応をお願いした際のメールなどのやりとりの証拠は残しておきましょう。
美容医療の契約や施術に関する相談先


名称 | ダイヤル・HP | 詳細 |
---|---|---|
消費生活センター (国民生活センター) | 188 (最寄りの消費生活センターへつながる共通番号) | 契約トラブルの相談や,クーリングオフができるかどうかの相談が可能です。 年末年始を除き毎日利用できます。 |
日本美容医療協会 | ホームページはこちら | 美容医療の専門家が相談に応じてくれます。 適切な治療についてアドバイスをもらえます。 |
医療安全支援センター | ホームページはこちら | 美容医療含む医療全体に関する相談を受け付けています。 |
まとめ


非常に身近になった美容医療ですが,あくまで医療行為であることを忘れてはいけません。
失敗したり,契約のトラブルなどに巻き込まれると精神的・経済的な負担が生じるため情報収集は慎重に行うことが大切です。
また美容医療では高額な契約をすることも多いです。
契約を結ぶ際には,契約書をしっかりと確認し不明点や疑問点は質問して解決しておくことが大切です。
クーリングオフという制度もありますが,まずは契約前に「今この金額を支払って,この施術を受けたいか」を自分自身でしっかり考えてみることが大切です。