家族が逮捕されたらまずは何をすればよい?逮捕・拘留・起訴の流れや対処法、逮捕後すぐに弁護士をつけるメリットについて解説します。
突然、家族や友人が逮捕されて、警察から連絡があった場合、「何かの間違いではないか」と、戸惑われると思います。まずは冷静に状況を把握することが何よりも大切です。
しかし、自分たちが警察とやり取りしても、なかなか要領を得なかったり、警察の対応に逆に不安を感じる、ということになりがちです。そんな時は、弁護士に依頼して面会してもらうという方法があります。
このコラムでは、逮捕・拘留・起訴の流れ、逮捕された時の対処法、弁護士に依頼するメリットについて解説します。
逮捕とは何か?
逮捕の定義と種類
逮捕とは、一定の理由と手続きに基づき、警察や捜査機関によって個人の身体の自由が一時的に制限されることを指します。逮捕には、主に「現行犯逮捕」「通常逮捕」「緊急逮捕」の3種類があります。
- 現行犯逮捕
犯罪が行われたその場で行われる逮捕で、逮捕令状が不要です。 - 通常逮捕
裁判所が発行する逮捕令状に基づいて行われる逮捕で、事前の準備や審査が必要です。 - 緊急逮捕
重大な犯罪が発生し、犯罪者がすぐに逮捕されないと明らかに危険がある場合に限られます。この場合も、緊急措置として行われた後で逮捕令状を取得する必要があります。
逮捕が行われる条件とは
逮捕が行われるには、法律で定められた明確な条件を満たす必要があります。具体的には、「犯罪が起きたと疑うに足る相当な理由」がある場合と、「被疑者が逃亡する可能性があること」や「証拠を隠滅するおそれがあること」が求められます。このような要件を満たさない場合、警察であっても逮捕を行うことはできません。
逮捕されたら家族に連絡は来るか?
逮捕された後は、スマホなどの私物は警察署内で保管され、逮捕された人が外部との連絡をとることはできません。しかし、本人が希望すれば、警察から家族に連絡してくれることがあります。また、逮捕後、本人が弁護士をつけることを希望した場合、弁護士が1回無料で面会をしてくれる当番弁護士制度というものがあり、その制度を利用した場合、弁護士から家族に連絡が来ます。
逮捕後の流れ
逮捕後の警察での対応
逮捕されると、まずは警察署内にある「留置所」に拘束されます。いわゆる「取り調べ」が行われ、事件の内容や動機などについて警察官から質問を受けることになります。留置中は自由に外出することは許されず、外部との連絡も基本的に制限されるため、家族は面会することはできません。
留置期間は逮捕から最長48時間であり、その間に警察は容疑者を検察庁へ送る(送致)か、釈放するかを決定します。この期間内に容疑の証拠が十分でない場合や微罪であると判断された場合、釈放されるケースもあります。
送致後
送致されると、検察官は24時間以内にさらに判断を行い、容疑者を一時的に釈放するか、裁判所に対して勾留を請求するかを決定します。検察官は、送致された容疑者についてその容疑の重要度や証拠の確実性を精査します。
勾留請求の期限は、逮捕後72時間かつ、送致後、検察官が被疑者を受け取った時から24時間以内です。
勾留
勾留とは、逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合に適用される身体拘束の措置です。裁判所が勾留を認めると、最初の期間は10日間となり、さらに延長が認められれば最大で10日間追加されます。したがって、逮捕から最大で23日間、身体が拘束される可能性があります。
この間に検察官や警察官による取り調べが行われます。また、必要に応じて家宅捜索、証拠の押収、関係者への事情聴取なども進められます。
起訴と不起訴
検察官が裁判所に訴えを起こすことを「起訴」といいます。反対に、明白な証拠がないと判断し、裁判所に訴えを起こさないことを決定した時は「不起訴」となります。逮捕・勾留されている場合は、不起訴処分となった時点で釈放されま、前科もつきません。
起訴となった場合、刑事裁判にかけられることになりますが、日本における起訴後の有罪率は非常に高いため、弁護士としては、まずは不起訴となるための活動が重要と考えます。
逮捕後すぐに弁護士に相談するメリット
早期介入で勾留を回避できる可能性が高まる
逮捕されてから留置所にいる間(最長72時間)は、弁護士以外は面会ができません。逮捕の連絡が来て、家族はいてもたってもいられない気持ちになると思いますが、まずは落ち着いて、弁護士をすぐに探すことをおすすめします。
逮捕された直後から弁護士が接見することで、迅速な対応が可能となります。法律の知識がないまま取り調べが行われると、被疑者が不利な取調べを受けたり、無理な押し付けを受けたりすることがあります。
弁護士が事前に接見を行い、取り調べにおける注意点や適切な対応をアドバイスすることで、被疑者は冷静に対処しやすくなります。また、勾留の要件が揃っていないことを主張する意見書を提出するなどの弁護活動も行うことができます。勾留を阻止することで、仕事への影響も最小限に抑えることができます。
また、弁護士は、勾留決定に対しても、準抗告して勾留の不当性を主張したり、検察に早期釈放を求めたり、裁判所に勾留の取消しや執行停止を求めることができます。
示談交渉の早期開始で不起訴の可能性を高める
事件が発生した場合、早期に弁護士を呼ぶことで、被害者との示談交渉がスムーズに進む可能性が高まります。特に、事件の内容によっては感情的な対立が深刻になることが多いため、第三者である弁護士が調整役として関与することで、双方が無理なく合意に至る示談を成立させることができる可能性が高くなります。
示談が成立することで、検察官が被疑者を起訴しない可能性を高めることができます。特に、被害者が弁護士との交渉に納得し、加害者と示談に至った場合、不起訴処分が選択されるケースは少なくありません。不起訴となれば前科がつくこともなく、今後の生活への影響も最小限に抑えることができます。
国選弁護と私選弁護の違い
刑事事件の弁護人は、国選弁護人と私選弁護人に分けられます。国選弁護人は、国が選任する弁護人のことで、被疑者や家族が選ぶことはできません。
これに対して、私選弁護士は、被疑者・被告人自身や家族が依頼したい弁護士を探して依頼します。私選弁護人は、起訴前の段階でつけることもできますので、不起訴や起訴猶予に向けた活動も行えます。
まとめ
逮捕されて被疑者となったとしても、それは「犯罪者」と断定されたわけではありません。法律的に言っても、有罪判決が確定するまでは、「犯罪者」ではないのです。是非、特に身近な人は、そのことを肝に銘じて、逮捕された方の力になってあげて欲しいと思います。
最近、様々な場面で、警察の取調べの過酷さや、冤罪事件が問題になっています。日本では、自白が偏重されており、警察は被疑者の身柄を拘束して、とにかく自白を得ようとする傾向にあるのです。この状況で、被疑者の権利を守るためには、身近な人が冷静になって、援助の手を差し伸べるしかないのです。
法律事務所リベロは、逮捕された人の権利を守りたい、なんとか助けたい、というご家族や友人の方のお力になりますので、お気軽にご相談ください。