消費者問題と弁護士
消費者とのトラブルは増加している
近時、消費者保護の流れはめざましく、英会話のNOVA事件などを受け、経済産業省など行政による事業者への監視も一段と厳格化の方向で変化してきています。
企業の消費者保護法令への対応が不十分な場合に、企業の存立を危うくする事態にもなりうることが広く認知され、事業者にとって消費者保護法令の遵守体制を確立することの重要性が飛躍的に高まりました。
一方、不当要求事案(いわゆるクレーマー)に悩まされる企業様も増えています。悪質なクレーマーについては、後を絶つためにも毅然とした態度をとることが必要です。
クレーマーの中には弁護士が電話を1本入れるだけで、矛を収める者も少なくありません。
消費者紛争を長期間抱えることは、事業者の企業イメージを損ない、インターネット等を通じて悪評が広まるおそれがありますので早期解決を基本にすべきです。
消費者トラブルでお困りの場合は弁護士に相談されることをお勧めします。
苦情が消費者紛争に発展しないために
現在の消費者保護法制は消費者契約法、特定商取引法、割賦販売法、訪問販売法、貸金業規制法、利息制限法などがあり、これらを総称して消費者保護法といっています。
これらの消費者保護法制は、消費者の権利意識が高まるにつれ繰り返し改正があり、行政当局の対応も変化がめざましく、事業者の法務担当者の方々は対応に苦慮しているのは事実です。
ことに消費者に有利な法律ですので事業者の多くは不公平感や戸惑いを感じていることが多く、事業者にとって頭の痛い法制度でしょう。
しかし、事業者は消費者保護法制という土俵の上で営業しているわけですから、頭の痛いところですが、変動する消費者保護法制に真正面から対応しなければならず、避けては通れません。
消費者紛争を防止するため、苦情そのものを減らすことは言うまでもないことですが、苦情が消費者紛争に発展しないような企業法務を採用しましょう。
消費者紛争の対処法
- 消費者紛争に発展してしまった苦情事案では、消費者が救済されなければならない悪質な事例も多いため、それは早期に誠実に対応する
※しかし中には事業者に全く落ち度がなく、しっかりとサービスの提供を受けているはずが、契約書等の問題点を探して代金の返還を求める理不尽な事例(クレーマー)が増加しているため、こちらについては後を絶つためにも争うべきだと考えます。 - 事業の法務担当者へ、紛争が早期解決問題であるのか、不当要求事案であるのかを的確に判断すること。
事業者が消費者紛争を抱えることは、インターネットなどの情報伝達手段を通じて悪評が広まるリスクがあるため、早期解決は重要です。
クレーマーへの対処法
中小企業においては、悪質なクレーマーに社長や店長など重要な地位にいる方が自ら対応しなければならないケースが多々見受けられます。
この場合経営者や店長などが担うべきマネジメント業務に支障が出たり、精神的にも疲労困憊してしまったりするなど、マイナスは計り知れません。
クレーマーの中には弁護士が電話を1本入れるだけで、矛を収める者も少なくありません。
また、悪質なクレーマーの場合でも、法的手続きに則って対処すれば、確実に問題は解決できます。
何より、経営者や管理職の精神的負担が格段に解消されます。ですから、悪質なクレーマーに悩まされている場合は弁護士にご相談されることをお勧めします。
特定商取引法と企業
特定商取引法とは、商取引において事業者による違法・悪質な勧誘行為を防止し消費者を守るための法律です。特に訪問販売や通信販売、電話勧誘など消費者トラブルが発生しやすい取引を対象に法律を制定し、消費者の利益を保護しています。
特商法に対応するうえで特に注意すべき点として以下が挙げられます。
書面交付義務の履行
特商法には通信販売とネガティブオプションを除き、クーリング・オフ制度があり、事業者は全額返金のリスクを負っています。
一度に多数の消費者から返金を求められて倒産してしまうリスクがあるので、クーリング・オフ制度には細心の注意が必要です。
とりわけ、クーリング・オフ制度は、法定書面交付義務(概要書面と契約書面の交付義務)と密接に関係しており、書面に重大な不備がある場合には、書面交付義務が履行されていないことになり、消費者は商そ品や役務の提供を受けているのにいつまでもクーリング・オフをして全額返金を求めることができることになります。そのため、書面交付義務の履行が最大の注意点となり、法定書面に必要的記載事項が書かれているかを慎重にチェックして基本となる契約書を作成する必要があります。
勧誘・広告規制の順守
広告規制や勧誘に際しての行為規制が数多く定められていますので、勧誘や広告が規制を遵守しているかを常に監視する必要があります。
勧誘規制の違反が争われる際には「言った」「言わない」の争いになりますので、勧誘経過や契約手続の記録化をお勧めします。