就活でハラスメントやセクハラ被害に遭ったらどうする?就活中のハラスメント対応法とは

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士

新卒の就職活動が3月1日より解禁されました。
これから就活を始める方も多くいらっしゃると思います。
また,新年度に向けて転職活動を始める方もいるでしょう。

しかし、その就職活動の時に気をつけたいのが,「就活ハラスメント」です。

  • 内定を早く出す代わりに,以降他の企業の選考を受けることを禁止される。
  • 内定辞退が認められない。
  • 入社前の研修等により残りの学生生活に支障をきたす。

就活が終わっても続く企業からの圧力や、不適切な言動は「就活ハラスメント」に該当します。
近年、ブラック企業による内定者の囲い込みや、不当な拘束が社会問題として浮かび上がっています。
にもかかわらず、「就職できただけマシ」「社会では当たり前」などの声にかき消され、問題視されにくいのが現状です。

では、どのような行為が「就活ハラスメント」に該当するのでしょうか? そして、もし自分が被害を受けたらどうすればよいのでしょうか? 本コラムでは、就活生が知っておくべき就活ハラスメントの実態と、対策について掘り下げていきます。

目次

就活ハラスメントとは?

就活ハラスメントとは就職活動中や内定後に企業や周囲から不当な圧力や嫌がらせを受けることを指します。
また最近では就職活動の場面で人事やリクルーターから性的な発言や行為を受ける就活セクハラというものも問題となっています。
就活生は企業よりも立場が弱いため,このようなハラスメント被害に遭ってしまうことがあります。

就活ハラスメントに該当する行為

以下の行為は就活ハラスメントに該当する可能性があります。

内定辞退を拒否する(就活オワハラ)

就活ハラスメントの代表的なものが”内定辞退の拒否”です。
内定を辞退することは就活生が自由に行えるものですが,人手不足等により一部の企業で内定を辞退させないよう強引な引き留めや圧力をかけることがあります。
採用担当より「内定が出た後は辞退できない」といわれても,法律的には辞退しても問題がないので,自分の意思で就職先を選びましょう。
また,「内定を出す代わりに,今後他の企業の選考は辞退してほしい」と迫ることもハラスメントに該当します。このような行為は,通称“就活終われハラスメント(オワハラ)”と呼ばれています。

選考時の不適切発言

面接官や採用担当者からの一言に違和感を覚えることはありませんか?
仕事内容に全く関係のない話題,年齢・出身地・学歴で差別するような発言等はハラスメント行為に該当します。

なんでこの学歴でうちの会社を受けたの?場違いじゃない?

学歴を理由に人格を否定することはハラスメントに該当します。

親や兄弟はどこに住んでいる?どんな仕事をしているの?

家庭環境は仕事の適性と全く関係ありません。このようにしつこく聞かれ,嫌な思いをしたらその企業は注意した方がよさそうです。

入社前の過剰な拘束・課題の押しつけ

内定後から入社までに研修や課題がある企業はよく見かけますが,研修日程が長期であったり課題の量が異常なほどに多いために,学業やアルバイトに支障をきたしてしまうとハラスメントに該当する恐れがあります。
就活生は「社員」ではないため,強制的な拘束は違法となる可能性があります。

就活セクハラに該当する行為や発言

厚生労働省が2020年度から22年度の間に大学や専門学校などを卒業した1000人を対象にした調査によれば、インターンシップや就活中にセクハラを受けたことがあると回答した割合が,およそ3割に上るという結果が出ました。

  • 「彼氏(彼女)はいる?」「結婚の予定は?」など仕事に関係の無い質問をする
    →恋愛・結婚などは仕事には関係のない質問です。ジェンダーに基づいた決めつけ発言もセクハラに該当します。
  • 面接で肩や手を触られる,面接官との距離が近すぎる。
    →身体的な接触は明確なセクハラといえるでしょう。
  • 連絡先交換や,執拗に飲み会・食事に誘う
    →採用に関わる場でこのような行為を行うことはセクハラに該当します。

就活ハラスメントが相談しづらい理由

就活で嫌な思いをしたり,今の質問はおかしい・・・と思ったとしても,多くの人が他に相談することなく自分の中でうやむやにしてしまっていることと思います。
その背景にはいくつかの心理的要因があると考えられます。

内定取消の不安

就活生からすると企業は上の存在です。そのため,ハラスメントを訴えたことで内定が取り消されてしまう・・・,自分の評価が下がってしまうかもしれない・・・といった不安から泣き寝入りしてしまう人が多いです。

「社会では当たり前のこと」と思い込んでしまう

威圧的な面接をうけて不快感を感じたとしても

「これくらい我慢しないと社会人なんてやっていけない!」
「厳しい環境に耐えてあたりまえだ!昔はもっとひどかった!」

などと面接官に常識のように言われてしまうと,そう思わざるを得なくなってしまいます。
しかし企業が就活生に圧をかけることは時代遅れの価値観です。

就職活動への焦り

就活は早く内定を貰う人もいれば,なかなか内定がもらえず長引いてしまう人もいます。
特に長引いている人は早く就活を終わらせたい・今更ほかの企業を受けるとさらに長引いてしまう・・・といった気持ちから,就活ハラスメントを受けていたとしても,妥協して入社してしまうことがあります。
焦る気持ちもわかりますが,ハラスメントを我慢して入社すると,入社後も苦労するかもしれません。
多少時間がかかったとしても,自分が納得のいく職場で働くことを目指した方がよいでしょう。

内定辞退拒否やオワハラが発生してしまうのはなぜ?

日本国憲法第22条では「何人も,職業選択の自由を侵されない」と,職業選択の自由が保障されています。
にもかかわらず,企業側が内定辞退を拒否したり,就活終われハラスメントはなぜ発生してしまうのでしょうか。

まず,企業は内定者を獲得するために、求人広告、説明会、面接、内定後のフォロー等に費用や時間をかけています
次に,企業は採用する人数の計画を立てて進行しています。例えば,当初の計画通り5人に内定を承諾したのに,そのうち3人が辞退してしまうと,人手不足となり業務に支障をきたすことになります。
そのため、内定者が辞退すると,企業側は「また採用活動をやり直さないといけない」という負担が発生します。

また,特に人員が不足している企業においては“とにかくたくさん人材を確保したい”という意図から,辞退を希望した人に対して強引な引き留めを行うこともあります。

就活ハラスメントにどう対応する?

冷静に対応する

もし企業側から不適切な質問や発言があった場合でも,感情的になったりせず,冷静に自分の立場を示すことが大切です。

  • 「その質問は仕事に関連する内容ではないと考えます。」
  • 「申し訳ありませんが,その点についてはお答えできません。」

不快に思う質問に対し,過剰に反応してしまうと,相手をさらにエスカレートさせる可能性もあるので注意しましょう。
また,面接の際に不適切な発言やハラスメントがあった場合には以下をメモし,証拠として記録に残すことも良いでしょう。

・企業名,面接の担当者
・面接の日時や会場
・具体的な発言内容
・その場に居合わせた人に関する情報(グループ面接,面接官2人,就活生4人など・・・)

プライベートな誘いや内定辞退などははっきりと断る

内定辞退は就活生の権利です。先述したとおり辞退をしても法律上何ら問題はないため,不当な圧力に屈せず辞退の意思を伝えましょう。
今後何かトラブルとなった場合,証拠として利用できますので,辞退を伝える際は、メールや書面で辞退を伝えると良いでしょう。

また,面接官や採用担当からプライベートな誘いがあった場合も同様です。
「就職のために行かなければいけない。」といったことはありません。怪しいな,嫌だなと思った場合にははっきりと断ることが大切です。

大学や公共機関への相談

就職活動のほかインターンシップやOB訪問でもハラスメントは起きやすいです。
「これってハラスメントかも。」と思ったら,1人で悩まず第三者へ相談すると良いでしょう。

相談先内容
学校併設のキャリアセンター学校に置かれている学生の就活支援部署です。
ハラスメント悩み相談室厚労省から委託を受けた企業が運営しているサイト。
メールやLINEで相談ができます。
相談は無料で匿名での相談も可能です。
総合労働相談コーナー各都道府県の労働局や労基署内に設置された相談窓口です。
あらゆる分野の労働問題の相談を受け付けています。

就活セクハラに対する最新情報

厚生労働省は、就職活動中の学生に対する人事担当者らによるセクハラの防止対策を,企業に義務付けるため,男女雇用機会均等法改正の準備を進めているとのことです。
企業に義務付ける対策としては、OB訪問等で学生と面談する際のルールを事前に定めるほか、被害の相談窓口設置と利用の周知、被害に対する謝罪対応などの案が挙がっています。

法律が改正され,悪質な就活ハラスメント行為がなくなることを祈っています。

まとめ

就職活動におけるセクハラやハラスメントは、決してあってはならないものです。
しかし、残念ながら現実には、面接官や採用担当者から不適切な発言やセクハラの被害に遭う就活生が存在します。

こうしたハラスメントに直面した際は、冷静な対応・ハラスメントの記録を残す・嫌なことははっきりと断る・適切な相談機関を活用することが重要です。

何より大切なのは、自分を守ることを最優先に考え、無理をしないことです。
「内定が欲しい」「ここで我慢しないと社会では通用しない」と思い込んで、を我慢する必要はありません。
むしろ、就活時のハラスメントを黙認する企業は、入社後も問題がある可能性が高いでしょう。

あなたの能力を正しく評価し、健全かつ安心できる環境で働ける企業は必ずあります。
ハラスメントを受けた企業へ無理に入社することはありません,自分にあった企業を見極めましょう。

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法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年、離婚、相続、債務整理、交通事故、労働問題、不動産、刑事事件、消費者事件、知的財産、企業法務等、多岐に渡って相談をお受けしております。事件に対する、粘り強く、あきらめない姿勢が強みです。極真空手歴約20年。
法律事務所リベロは北千住徒歩7分の地域密着型法律事務所です。堅苦しくなく、依頼者の方が安心して相談出来る事務所です。お気軽にご相談ください。

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約17年、離婚、相続、債務整理、交通事故、労働問題、不動産、刑事事件、消費者事件、知的財産、企業法務等、多岐に渡って相談をお受けしております。事件に対する、粘り強く、あきらめない姿勢が強みです。極真空手歴約20年。
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