増加するSNS上でのストーカー行為やネットでの嫌がらせから身を守るには

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士

近年,SNSやネット上でのストーカー行為や嫌がらせが急増しています。
以前のストーカーは主に対面でのつきまといや,昼夜を問わない電話・メールなどの行為が中心でしたが,
スマートフォンやSNSの普及,さらにはAI技術の発展により,被害の形は大きく変化しました。
例えば,元交際相手からSNSを監視される・DMが送られてくる,無断で位置情報を取得するといった行為が報告されています。
こうしたネットストーカーやネット嫌がらせは,時間や場所を問わず,被害者の生活に深刻な心理的負担を与え,場合によっては安全やプライバシーを脅かすこととなります。
本記事ではSNSやネット上で増加するストーカー被害の実態を具体的な事例とともに解説し,法律や行政の対応策,さらに自分でできる防止策を紹介します。
デジタル社会における自己防衛のヒントとしご活用ください。

目次

ネット・SNSでのストーカーの手口

ネットストーカーの手口は年々巧妙化しており、被害者が気づかないうちに監視や嫌がらせが進んでしまうケースも少なくありません。

SNSでの過剰な接触

もっとも多いものが,SNSを通じた過剰なメッセージやコメントです。
たとえば一日に何十件もDMを送る・無視してもアカウントを変えて接触を図ろうとする・・・といったケースが報告されています。
こうした「しつこい連絡」は一見ただの迷惑行為に見えますが,被害者側は常に監視されている感覚を抱き,強いストレスや恐怖心にさらされます。
さらにエスカレートすると「会いたい」「どこにいるか知っている」といった強い不安を与える文言が加わり,実際の危険に結びつくこともあります。

投稿の監視と生活圏の特定

SNSに何気なく載せた一枚の写真が被害につながることも少なくありません。
背景に映り込んだ建物や看板から自宅や職場を特定されたり,投稿時間帯から生活リズムや自宅に居る時間を把握されるケースもあります。
ストーカーはこうした断片的な情報をつなぎ合わせ,被害者の行動を追跡します。
結果として突然自宅に押しかけられる,待ち伏せされるといった実害につながるリスクが高まります。

位置情報の悪用

SNS投稿には位置情報を付与することができます。
おいしいお店の位置情報や,遊びに行った場所の位置情報を投稿すると生活圏が知られてしまう恐れがあります。
知らないうちに行動を監視されることは,プライバシーの侵害にとどまらず,日常生活そのものが脅かされる深刻な問題となります。

集団によるネット嫌がらせ

近年増加しているのが,集団的なネットいじめの形をとるストーキングです。
特定の人物をターゲットにして,誹謗中傷を書き込んだり,複数のアカウントから一斉に嫌がらせを仕掛けることで,被害者が孤立感を深めるケースが発生しています。
加害者側はSNSの匿名性に守られているため,罪悪感を感じにくく,言動がエスカレートし,被害者を追い詰めてしまう点が特徴です。
精神的な負担が大きく,鬱症状などの二次被害につながることもあります。

ネット上の嫌がらせやストーカー行為から身を守る法律はある?

ネット上の嫌がらせやストーカー行為は,被害者が泣き寝入りしてしまうケースも少なくありません。
しかし問題を放置するとエスカレートすることも多いため,警察や弁護士など専門機関へ早めに相談することが重要です。
律の力を借りることで,加害者を止め,安心して生活できる環境を取り戻すことが出来ます。

ストーカー規制法による保護

SNSでの執拗な連絡・監視・繰り返される嫌がらせ行為はストーカー規制法の対象となります。
法改正により,メールや電話だけでなく,LINEやSNSからのDM経由の連絡も規制の範囲に含まれました。
警察に相談することで,加害者に警告や禁止命令が出され,違反した場合は刑事罰が科されます。

発信者情報開示請求による対応

匿名の誹謗中傷やネット上の嫌がらせについては“プロバイダ責任制限法”に基づく発信者情報開示請求が活用されます。
これは,SNSや掲示板に書き込んだ人物を特定するために,プロバイダやプラットフォームに対して情報開示を求める手続です。
近年は裁判手続を簡素化する改正も進んでおり,以前よりスムーズに加害者を特定できるようになりました。

今からできる自己防衛策

SNSのプライバシー設定の見直し

  • アカウントを非公開に設定する
  • フォローリクエスト等の申請許可は慎重にする
  • 自宅の窓等場所が特定できるものが写っている投稿は「友人のみ」に設定する

こうした設定を徹底するだけで,不特定多数からの監視リスクが大幅に減少します。

位置情報をオフにする

写真や投稿には意外と位置情報が含まれていることがあります。
スマホやアプリの設定で「位置情報の自動付与」をオフにしておくことが大切です。
旅行やイベントに参加している写真は,リアルタイムではなく帰宅後に投稿するのも効果的です。

個人情報を推測される投稿は避ける

制服や社名ロゴ,近所の風景など,日常の写真からでも自宅や学校が特定されることがあります。
何気ない投稿が手掛かりになるという意識を持ち,個人情報につながる要素をSNSに載せることは極力控えましょう。

不審なアカウントはすぐにブロック

しつこい連絡や嫌がらせをするアカウントは,ためらわずにブロックし運営に通報しましょう。
プラットフォーム側には規約違反アカウントを凍結する仕組みもあるため,早めに行動することが被害拡大を防ぎます。

記録を残す

もし被害が発生した場合はしっかりと記録を残すことが大切です。

  • 該当のメッセージやコメント,相手のアカウント名のスクリーンショット
  • アクセス履歴や通知のメモ
    →どの時間帯にアクセスや連絡が来ているか,時間帯や回数をメモしておく。
  • 自分の被害状況の記録
    →嫌がらせにより生じた体調の変化や感じた恐怖を日記形式で残しておくと被害の深刻さを裏付ける資料になります。

以上のような記録は,警察に相談する際に具体的にどんな被害を受けているのかを示す材料となりますし,開示請求を行う場合の根拠にもなりえます。
また証拠があることで,友人や家族に相談した際も理解や支援を得やすくなります。

まとめ:一人で抱え込まず、行動することが大切

SNSやネットを通じたストーカー行為や嫌がらせは,誰にでも起こり得る身近な問題です。
「ネット上のやりとりだから大したことない」と軽く見てしまうと,被害が長期化したり,生活に影響が及ぶ危険があります。

大切なのは、早めに対処することです。

  • プライバシー設定や位置情報管理で“予防”する
  • 不審な相手はブロック・通報で“遮断”する
  • そして証拠を残し、警察や専門家に“相談”する

この3つのステップを心がけるだけでも,被害の深刻化を防ぐことができます。

インターネットやSNSは本来,自由に楽しむための空間です。
ストーカーや嫌がらせによって生活が脅かされる必要はありません。
一人で抱え込まず,信頼できる人や専門機関に相談しながら,安心できるオンライン環境を取り戻しましょう。

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法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約18年、離婚、相続、債務整理、交通事故、労働問題、不動産、刑事事件、消費者事件、知的財産、企業法務等、多岐に渡って相談をお受けしております。事件に対する、粘り強く、あきらめない姿勢が強みです。極真空手歴約20年。
法律事務所リベロは北千住徒歩7分の地域密着型法律事務所です。堅苦しくなく、依頼者の方が安心して相談出来る事務所です。お気軽にご相談ください。

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約18年、離婚、相続、債務整理、交通事故、労働問題、不動産、刑事事件、消費者事件、知的財産、企業法務等、多岐に渡って相談をお受けしております。事件に対する、粘り強く、あきらめない姿勢が強みです。極真空手歴約20年。
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