



法律事務所リベロ(東京都足立区)
所長弁護士
近年、「パワハラ」や「セクハラ」といった言葉は広く知られるようになりましたが、実はハラスメントの種類は日々増え続けています。
働き方や人間関係が多様化した今、私たちの日常には“新型ハラスメント”が静かに広がっています。
たとえば、リモート会議中の態度を責める“リモハラ”や、論理を武器に相手を追い詰める“ロジハラ”など、これまで見過ごされていた言動が「ハラスメント」として認識され始めているのです。
本記事では、職場・学校・SNSといった身近な場面で起きている新しいハラスメントの事例を紹介しながら、私たちがどう向き合うべきかを考えます。
職場におけるハラスメントといえば、従来はパワハラやセクハラが中心でしたが、最近ではその形がより巧妙で見えにくいものへと変化しています。
特に問題視されているのが、ロジハラ・リモハラ・エンハラといった“新型ハラスメント”です。
ロジハラとはロジカルハラスメントの略称で,論理的な言葉を使って相手の感情を否定したり、追い詰めたりする行為です。
たとえば「それは論理的におかしい」「感情で話すな」といった発言で相手を封じ、議論を一方的に支配してしまうケースが該当します。
相手の気持ちを否定し、“正論”で押し切ろうとするため、受け手は「自分が悪い」と思い込みやすい点が特徴です。
リモハラとはリモートハラスメントの略称であり,テレワークの普及とともに登場した新たなハラスメントです。
カメラの常時オンを強要されたり、勤務時間外のチャットに即時対応を求められたりと、プライベート空間への過干渉が問題になります。
テレワークというプライベートと仕事の境界線が曖昧な状況で、無意識に“監視”や“詮索”になりやすい点が特徴です。
エンハラとはエンジョイハラスメントの略称であり,職場の雰囲気を良くしようという名目で、無理に“楽しさ”や“ノリ”を押し付ける行為です。
「もっと笑って!」「なんでテンション低いの?」といった言葉がプレッシャーとなり、周囲に合わせられない人にとっては強いストレスになります。
良かれと思って行った雰囲気づくりが、個人の意思を無視した圧力に変わる危険性があります。
これらのハラスメントは、発言者に悪意がない場合も多いのが特徴です。
しかし、受け手が精神的に追い詰められているなら、それは立派なハラスメントになります。
働きやすい環境づくりのためには、「相手の感じ方」への配慮が今まで以上に求められています。
ハラスメントは大人の社会だけの問題ではありません。
中高生や大学生など、いわゆるティーン世代の間でも、“新しい形”のハラスメントが静かに広がっています。
見逃されがちですが、学校や部活動、SNSを通じて若者同士の人間関係に深刻な影響を与えているのです。
名称 | 内容 |
---|---|
告白ハラスメント | 好意を持っていない相手から突然告白されることで、精神的に動揺したり、周囲の人間関係に支障が出たりするケースを指します。 中には、断ったことで「○○は冷たい」「調子に乗ってる」などと陰口を叩かれるなど、二次的ないじめに発展する事例も報告されています。 |
スクールハラスメント | 教師側によるハラスメントであり,たとえば、「将来のために我慢しろ」と長時間の居残り指導を強制したり、進路指導で生徒の意見を聞かずに一方的に方向性を決めてしまうような行為が該当します。 熱心な指導との境界があいまいなだけに、指導と押し付けの線引きが難しい問題です。 |
晒しハラスメント | 特に女子学生の間では、グループLINEでの無視や陰口、個人情報や写真をSNSで勝手に拡散するといったトラブルが多発しています。 表立った暴力や言葉の暴力がなくても、ネット上で孤立させる「見えにくいいじめ」は、精神的なダメージが大きく、深刻な不登校やメンタル不調に発展するケースもあります。 |
子どもや学生の世界では、大人のように「これはハラスメントだ」と自覚する力がまだ十分とは言えません。
だからこそ、学校や家庭の中で、大人がこうした状況を敏感に察知し、早期にサポートできる体制が求められています。
SNSが日常の一部となった現代では、言葉や反応一つで人間関係が大きく揺らぐ時代です。
そんな中で、SNS特有の文化や構造を背景に生まれた“新しいハラスメント”も見逃せません。
直接的な暴言だけでなく、沈黙や無関心すらも「攻撃」と受け止められてしまうことがあります。
名称 | 内容 |
---|---|
炎上ハラスメント | 誰かの発言や投稿の一部を切り取ってSNS上で拡散し、集団で非難・攻撃する行為です。 正義感からくるケースもありますが、実際には「叩くこと自体が目的化」していることも多く、対象となった人に深刻な精神的苦痛を与えます。 ときに実名・勤務先の晒し行為にまで発展し、ネットリンチに巻き込まれる危険もあります。 |
リアクションハラスメント | 「いいね」や「リツイート」「既読」などのリアクションを意図的に操作・利用して人間関係に圧をかける行為です。 たとえば「投稿をスルーされた」「グループLINEで自分だけ既読無視された」といった状況が続くと、それだけで“無視された”と感じ、強い孤独やストレスに繋がるケースがあります。 言葉を使わない無言のハラスメントとも言えるでしょう。 |
ハラ・ハラ(ハラスメントハラスメント) | 「それってハラスメントじゃないの?」という言葉を使って相手の発言を封じたり、意見表明そのものを難しくする雰囲気をつくる行為です。 もちろん、本当に不適切な言動を指摘するのは重要ですが、些細な違和感までも過剰に問題視することで、発信する側が過度に萎縮してしまい、結果として健全な議論や表現の自由が失われることもあります。 |
SNS時代のハラスメントは、従来のような「強い者が弱い者を抑圧する」という構図に限らず、誰もが加害者にも被害者にもなりうる複雑な問題です。
言葉の力が強まるいまこそ、発信する側・受け取る側のどちらもが“見えない暴力”への意識を高める必要があります。
新たなハラスメントが次々に登場する現代では、「また新しい○○ハラができたの?」「それもハラスメント扱いになる
の?」といった声も多く聞かれます。
たしかに、一見些細な言動まで問題視されることに、窮屈さを感じる人がいるのも事実です。
しかしそれは、本来見過ごされてきた“痛み”や“違和感”に、ようやく光が当たるようになってきたという証でもあります。
重要なのは、「過敏すぎる」と片づけるのではなく、「なぜその言動が問題になるのか?」という背景や構造に目を向けることです。
ロジハラも、リモハラも、エンハラも、発言者に悪意がないことが多いため、なおさら指摘しづらく、問題が長期化しやすい傾向があります。
だからこそ、「相手がどう感じたか」という視点を持つことが、ハラスメントを防ぐ第一歩になります。
一方で、何でもハラスメントと言われてしまう・・・という風潮が広がれば、かえって職場や学校の人間関係が萎縮し、本音でのコミュニケーションがしづらくなるリスクもあります。このバランスをどう取っていくかは、社会全体の課題と言えるでしょう。
ハラスメント対策において大切なことは、“指摘”ではなく“対話”です。自分の言動が相手にどう影響したかを知ること、違和感を覚えたときに率直に伝えること。
お互いの価値観や立場の違いを理解しようとする姿勢があれば、たとえ意見がぶつかったとしても、そこから関係が深まることもあります。
“新型ハラスメント”の登場は、コミュニケーションの質を見直すきっかけでもあります。変化を嘆くのではなく、より良い関係性を築くための「進化」と捉えて向き合っていくことが、これからの時代に求められていくのです。
特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。
弁護士として約18年、離婚、相続、債務整理、交通事故、労働問題、不動産、刑事事件、消費者事件、知的財産、企業法務等、多岐に渡って相談をお受けしております。事件に対する、粘り強く、あきらめない姿勢が強みです。極真空手歴約20年。
法律事務所リベロは北千住徒歩7分の地域密着型法律事務所です。堅苦しくなく、依頼者の方が安心して相談出来る事務所です。お気軽にご相談ください。
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代表弁護士渡辺がお話を伺い、
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法律相談料:5,500円/30分
受付:平日9時〜17時
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