





法律事務所リベロ(東京都足立区)
所長弁護士
“独身偽装”とは本当は既婚者であるにもかかわらず独身と偽り交際する行為を指します。
近年では,マッチングアプリやSNSの普及により,独身偽装のトラブルが急増しています。
結婚を前提に真剣交際していたのに,ある日突然既婚者だと発覚すれば,裏切られた側のショックは計り知れません。
中には金銭を貸してしまったり,将来同居するためのあらゆる費用を支払ってしまったというケースもあり,深刻な被害に発展することもあります。
では,独身偽装によって精神的・経済的な被害を受けた場合,慰謝料を請求することはできるのでしょうか?

前述したとおり,独身偽装とは既婚者であることを偽って交際をすることです。
特にマッチングアプリやSNS上での出会いに多く,プロフィールに“独身”と記載し交際相手を探す一方で,実際には家庭を持っている――このような行為は単なる嘘では済まされません。
まず第一の問題点として,相手の自己決定権を侵害していることです。
交際や結婚を前提に関係を築こうとする側にとって,「独身であるか否か」は非常に重要な判断要素です。
既婚者である事実を隠されていたために,交際や性的関係に発展し場合,意思決定を誤らせられたこと自体が大きな精神的苦痛となります。
独身偽装には法的なリスクもあります。
結婚を前提とした交際や性的関係を持った場合,民法上の不法行為(民法709条)に該当する可能性があります。
また過去には独身偽装による交際が貞操権侵害として認定され,慰謝料が認められた事例も存在します。
さらに,金銭トラブルも深刻です。「結婚資金」「将来の生活のため」といった名目でお金を貸した後,既婚者であることが発覚し,関係が破綻,金銭の返還もされなかったというケースがあります。
こうした場合には,慰謝料請求だけでなく,詐欺や不当利得返還請求といった法的措置を取らざるを得ないこともあります。
このように独身偽装は被害者の心身に大きな傷を与えるだけでなく,法律上の責任を問われるリスクが極めて高い行為といえます。

独身偽装には,精神的被害型と金銭的被害型があります。
そして両者が複合的に生じることも少なくありません。
いずれの場合も被害者は泣き寝入りせず,法的な対応を検討するべきといえます。
独身偽装で最も多い事例が,マッチングアプリで独身と虚偽登録し交際相手を探すケースです。また次いでSNSで知り合った相手に対し独身と伝えるケースもあります。
真剣に結婚を考えて交際相手を探している側にとって,最初から根本的な信頼関係が裏切られることになります。
こういった場合,交際相手が既婚者であったこと事態が大きな精神的苦痛となり,慰謝料請求の対象となり得ます。
また,交際を重ね,肉体関係まで持ったあとに既婚者であることが発覚した場合,結婚を前提に関係を築こうとしていた意思決定が根底から覆されることになります。
この場合,貞操権侵害を理由とした慰謝料請求が認められる余地があります。
より悪質なものが,独身を装い“結婚資金が必要”などと嘘をつき,相手から金銭をだまし取るケースです。
これは単なる独身偽装を超えて詐欺行為にあたり,慰謝料請求だけでなく,不当利得返還請求や刑事事件に発展する可能性もあります。

独身偽装の被害者が最も気になることは「慰謝料を請求できるのか」ということでしょう。
一般的な不倫の場合,既婚者と知っていて交際した側は不貞行為の共同責任を問われ,慰謝料を支払う立場になることがあります。
しかし,相手が既婚者であることを知らされず,独身と信じて交際した場合は,騙された側は被害者と認められ,慰謝料を請求できる可能性があります。
実際に認められる慰謝料額はケースによって異なりますが,数十万円~100万円程度が相場です。
但し,交際相手を妊娠・中絶させた等被害が深刻な場合には慰謝料が高額になることもあります。

日本の裁判例では独身と信じて性的関係を持った場合,人格権の1つである貞操権が侵害されたとして慰謝料が認められたケースがあります。
つまり,結婚を前提に真剣交際をしていたにもかかわらず,その前提条件が虚偽だったという点で精神的苦痛が重大と判断されます。
貞操権とは,自分の意思に基づいて交際や性的関係を持つかどうかを自由に決定できる人格的権利のことを指します。
相手が既婚者である事実を隠し独身だと偽って交際・肉体関係を持った場合,この権利が侵害されたと評価される可能性があります。
これらの事情が揃えば,慰謝料請求が認められる可能性が高くなります。
また,交際時に既婚者であることを知っておりその上で関係を持った場合には,貞操権侵害は成立しません。
しかし独身と信じさせられたケースにおいては,被害者は自由な意思決定を妨げられたと評価されるため,単なる浮気よりも法的に重く扱われる傾向があります。

既婚者であるにも関わらず独身と偽る行為は,民法709条の不法行為に該当する可能性があります。
被害者の自由な意思決定を奪い,精神的苦痛を与える以上,慰謝料を支払うべき法的根拠が存在すると考えられます。
被害者は知らなかったという点をしっかり主張・立証することで精神的損害の補填を求めることが出来ます。
慰謝料請求を有利に進めるには,相手が既婚者であることを隠していた証拠が不可欠です。
以上のような証拠があるとよいでしょう。
反対に証拠がなければ本当に騙されていたかどうかが立証できないため,慰謝料請求が認められにくくなります。
法律の専門家である弁護士に相談すれば,証拠の有効性を判断してもらえたり,適切な慰謝料額を算定してもらうことができます。
また,弁護士が代理人となることで,相手と直接やりとりせずに済み,精神的な負担を大幅に減らすことができます。
独身偽装による慰謝料の請求方法としては交渉または裁判手続があります。
交渉の場合は,相手に直接もしくは弁護士を通じて慰謝料を請求します。
交渉で合意出来なかった場合は,訴訟を提起し慰謝料を求めることができます。

独身偽装とは,既婚者が独身と嘘をついて結婚前提に交際を行う行為であり,被害者に精神的損害,場合によっては経済的損害をも与える深刻な問題です。
特に既婚者と知らなかった状況で信じて交際し,後から真実を知った場合には,貞操権侵害として慰謝料請求が認められる可能性があります。
裁判例でも独身偽装による慰謝料が認められたケースは存在しており,被害者が適切に証拠を残していれば,泣き寝入りせずに権利を主張することが出来ます。
金銭のやりとりがあった場合には,慰謝料に加えて返還請求や詐欺としての責任追及も検討できます。
もし独身偽装されていたことが発覚した場合,まずは証拠を確保し,弁護士に相談すれば法的な手段を通じて精神的苦痛の回復を求められます。
既婚者による独身偽装は単なる裏切りではなく,法的責任を伴う行為です。
被害に遭ったときは,専門家の力を借りて正当な慰謝料を請求しましょう。

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。
弁護士として約18年、離婚、相続、債務整理、交通事故、労働問題、不動産、刑事事件、消費者事件、知的財産、企業法務等、多岐に渡って相談をお受けしております。事件に対する、粘り強く、あきらめない姿勢が強みです。極真空手歴約20年。
法律事務所リベロは北千住徒歩7分の地域密着型法律事務所です。堅苦しくなく、依頼者の方が安心して相談出来る事務所です。お気軽にご相談ください。

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代表弁護士渡辺がお話を伺い、
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