
歓迎会シーズンに注意!アルコールハラスメント(アルハラ)の見分け方と断り方

春は出会いの季節。新年度が始まり、歓迎会や飲み会の予定が増えてくる時期でもあります。
中には「飲み会って苦手…」「本当は行きたくないのに断れない」と、もやもやした気持ちを抱えている人も少なくありません。
中には、お酒が弱いのに無理やり飲まされたり、「ノリが悪い」と言われて居心地の悪さを感じたり——
それって、もしかしたらアルコールハラスメント(アルハラ)かもしれません。
でも、「みんな我慢してるから…」「社会人として当たり前?」と、自分の気持ちを飲み込んでいませんか?
「飲めない自分は悪くない」
そう思えるようになるための、第一歩として読んでもらえたら嬉しいです。
- アルコールハラスメントについて知りたい方
- 飲み会の席で自分がされていることがハラスメントに該当するか知りたい方
- 無理なくお酒を断る方法を知りたい方
- アルコールハラスメントの相談先を知りたい方
アルハラとは?

アルコールハラスメント(以下アルハラ)とは,お酒にまつわる嫌がらせや,無理に飲酒を強要することを指します。
- お酒が飲めないのに「とりあえず最初はみんなビールでしょ!」と勝手に注文される。
- お酒が飲めないのは社会人として失格と言われる。
- 一気飲みの強要や帰りたい人を無理矢理二軒目に連れて行く。
- お酒を断っただけで,空気を悪くしたような雰囲気になる。
こうした言動は,冗談やノリで済まされがちですが,相手が不快に感じたり、精神的・身体的に苦痛を受けるなら、立派なハラスメントなのです。
飲めないあなたは悪くない
アルハラは、する側にとっては軽い気持ちでも、される側にとっては深く傷ついたり、身体に異変が出たりすることもあります。
特にお酒に弱い体質の人,過去のお酒の失敗にトラウマがある人,健康上お酒を控えなければならない人等にとって飲酒を強要することは命に関わることにもつながりかねません。
「飲めない自分が悪いんだ・・・」と思わなくて大丈夫です。
パワハラやモラハラとの違いって?
アルハラは、職場で起きることが多いため、パワハラ(立場を利用した嫌がらせ)やモラハラ(精神的な攻撃)と重なるケースもあります。
たとえば、上司が「飲まないと評価下げるよ」と言えば、それはアルハラ+パワハラになりますし
お酒の席で酔った勢いで相手をからかって精神的に追い詰めたとすれば、アルハラ+モラハラにもなり得ます。
お酒の場で「イヤだな」「苦しいな」と思ったら、それはあなたの心が危険信号を出している証拠です。
無理して付き合う必要は全くありません。
これってアルハラ?チェックしてみましょう

「これってハラスメントなのかな…?」そう思いながらも、なかなか判断しづらいのがアルハラのやっかいなところです。
そこでまずは、簡単なチェックリストを作成しましたので、当てはまるものがあるか、チェックしてみましょう。
- 「とりあえず飲んでみなよ」としつこくすすめられる。
- 飲めないと伝えても、冗談やからかいで流される。
- 一気飲みやショットを無理やり勧められたことがある。
- 飲まないと「ノリが悪い」「空気読めない」と言われた。
- お酒を断ったら、場がしらけてしまった。
- 飲めないことを理由に飲み会に呼ばれなくなった。
- 帰ろうとすると引き止められる、またはお酒を追加される。
- 翌日、体調を崩すまで飲まされたことがある。
いくつか当てはまった場合はアルハラの可能性があります。
「自分の気にしすぎかな…」と感じるかもしれません。
しかし、“イヤだ”と思った時点で、それはちゃんとしたサインです。無理に我慢する必要はありません。
お酒から自分を守ることが大切
「みんな飲んでいるから合わせなきゃ」「新人で歓迎して貰う立場だから飲まなきゃ」という気持ちがあることもよくわかります。
しかし、お酒が体質的に合わない人もいますし、苦手な人もいます。
飲みたくないのに飲まされることが、心や体にダメージを与えるのは当然のことです。
あなたの「イヤだな」という感覚は、ちゃんと大事にしていいものです。
アルハラを断るフレーズ

飲めません!とハッキリ言えれば一番よいのですが,職場の飲み会ですとなかなか言い出しにくいでしょう。
そんなときにやんわりかわせるフレーズをいくつか挙げたいと思います。
体調を理由に断る

・実はお酒が体質に合わなくて頭痛がしちゃうんですよ
・ドクターストップがかかってて今控えないといけなくて・・・
・明日朝5時起きなので,今日は辞めておきます
など体質や,スケジュールを理由にすると無理に勧めにくくなります。
冗談ぽくかわす



・実はウーロン茶が一番酔えるんですよ!
・酔ったらとてもめんどくさいタイプですが最後まで面倒みてくれますか?
・このノンアルでテンションが上がってるんで大丈夫です!
あえて冗談を言ってアルコールを避けるのも1つの手段といえるでしょう。
物理的に距離をとる
しかしどんなにかわしてもしつこく勧めてくる人はいます。
そんなときは,トイレに立ったり,あえて会話から外れてみたり,飲み会を抜けるなど物理的に距離を取ることも大切です。
アルハラを受けたときの相談先


アルハラを受けたときに相談できる場所や、取れる行動をまとめました!
会社内での相談先
まずは,社内で信頼できそうな人に相談してみましょう。
例えば上司(加害者でない場合)や人事や総務部、また社内にコンプライアンスやハラスメントの専用窓口を設けている企業も増えていますので、職場で確認してみるとよいでしょう。
外部の相談先
名称 | 詳細 |
---|---|
ハラスメント悩み相談室 | 厚労省から委託を受けた企業が運営しているサイト。 メールやLINEで相談ができます。 相談は無料で匿名での相談も可能です。 |
総合労働相談コーナー | 各都道府県の労働局や労基署内に設置された相談窓口です。 あらゆる分野の労働問題の相談を受け付けています。 |
みんなの人権110番 | ハラスメントや差別など人権に関わる問題を相談できます。 |
記録を残しておくと心強い
もし相談を考えているのであれば,可能な範囲で証拠や記録を残しておくことをおすすめします。
スマホにメモしておくだけでも十分な記録となります。何があったかを自分の言葉で記録することが大切です。
まとめ


お酒が飲めないこと、飲みたくないことは、何も悪いことではありません。
しかし今の社会では「飲まない=ノリが悪い」「空気が読めない」と,まるで飲めない側が悪いかのようにされてしまう場面がまだまだ多いように思われます。
そんな理不尽な空気の中で、「断ったら嫌われるかも」「自分が我慢すればいいんだろうか」と悩みながら、ここまで読んでくれたあなたは、本当に頑張っているとおもいます。
しかし、飲み会のために心と体をすり減らす必要はありません。無理して失言に耐えなくてもいいし、無理して飲まなくて大丈夫です。
無理せず断る言い方も、頼れる相談先もちゃんとあります。少しずつでいいので、自分の気持ちを守ることを大切にしていきましょう。