井村和清さんの手記から愛を考える

こんにちは。法律事務所リベロ所長の渡辺です。

今回は,癌のため31歳で亡くなった一人の父親(井村和清氏)が,まだ幼い二人の子供たちに残した遺書を紹介します。

目次

人は最期にどんな言葉を残したいのか。

ノートとペン

井村さんは医師だったようですが,亡くなる1年前頃に癌が発覚し,移転を防ぐために右足を切断するなど闘病生活を送っていました。妻との間に長女飛鳥ちゃんという1歳6ヶ月の子がおり,妻は,2人目の子供を身ごもっていたようです。

「ふたりの子供たちへ」井村清和さんの手記

心の優しい思いやりのある子に育ちますように。
悲しいことに,私はおまえたちが大きくなるまで待ってはいられない。
こんな小さなおまえたちを残していかねばならぬかと思うと旨が砕けそうだ。
いいかい。心の優しい,思いやりのある子に育ちなさい。
そして,お母さんを大切にしてあげなさい。
父親がいなくても,胸を張って生きなさい。
私も右足切断の手術を受けたけれども,負けなかった。
だからおまえたちも,これからどんな困難に遭うかもしれないが,負けないで耐えぬきなさい。
星の王子様のサン・テグジュペリが書いている。
大切な物はいつだって目に見えない。
人はとにかく目に見えるものだけで判断しようとしているけど,
目に見えているのは,いずれは消えてなくなる。
私に逢いたくなる日がきたら手を合わせなさい。
そして心で私を見つめてごらん。
お母さんを守ってあげなさい。
二人の力で守ってあげれば,どんな苦労だって乗り越えられるよ。
そしてもし,私が死んだ後,お母さんが淋しがっていたら,慰めてあげなさい。
思いやりのある子とは,周りの人が悲しんでいたら,ともに悲しみ,喜んでいる人がいたらその人のために一緒に喜べる人だ。
思いやりのある子は周りを幸せにする。
周りの人を幸せにする人は,周りの人々によって,もっともっと幸せにされる,世界で一番幸せな人だ。
だから,心の優しい,思いやりのある子に育って欲しい。
それが私の祈りだ。
さようなら。
私はもう,いくらもおまえたちの傍にいてやれない。
おまえたちが倒れても,手を貸してやることもできない。
だから,倒れても倒れても
自分の力で起き上がりなさい。
さようなら。
おまえたちがいつまでも,いつまでも幸せでありますように。
雪の降る夜に(父より)

井村和清著 『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ』

感動的な内容ですね。

小さなお子さんがいる方は,死に直面した場合,子供達に何を一番伝えたいですか?

最後に残すのは,どういった言葉になりますか?

井村さんはクリスチャンですが,クリスチャンでない方でも,多くは,井村さんのように,心の優しい,思いやりのある子になって欲しいと伝えるのではないでしょうか?。

逆に,亡くなる直前,小さなお子さんからどんなことを言われたいですか?ニュアンスは異なるかも知れませんが,「お父さん(お母さん)いつも優しくしてくれてありがとう」という言葉ではないでしょうか?

死に直面すると本当に大切なものが見分けられるとも言われますね。
そういった場面で,親も子も一番大切なものとして挙げるのは,優しさ,思いやりなど「愛」の性質ではないでしょうか?子供から「お父さん,お金持ちでいてくれてありがとう」と言われたいですか?そう言われたら何か悲しくありませんか?

皆,家族では何が一番大切か分かっているのに,いつの間にか忘れられてしまっているもの・・・それは「愛」だと思います。

愛の力

抱っこされる赤ちゃん

マザーテレサは次のように言っています。

子どもたちが,自分たちのお父さんやお母さんから,どのように互いに愛し合うのかを学ぶかは,とても大切なことです。学校ではなく,先生からでもなく,あなたがたから。
あなたがたが,子どもたちと,ほほえみを交わす喜びを共有することも,とても大切です。
意見の相違はあるでしょう。
どんな家庭にも,辛いときや苦しいときがあります。
そんなときは必ず,まずはほほえんでゆるすこと

マザーテレサ

聖書には,

野菜を食べて愛し合うのは,肥えた牛を食べて憎み合うのにまさる。

箴言15章17節

乾いたパンが一切れあって平穏なのは,ごちそうと争いに満ちた家にまさる。

箴言17章1節


という言葉があります。

マザーテレサも

この世界のもっともひどい貧困は,食べ物の欠乏ではなく,愛の欠乏です

マザーテレサ


と言っています。

お金がなくても,「愛」があれば子供は健全に育つ。

一方,お金が有り余る程あったとしても,「愛」がなければ,子供は健全には育たない。

子供は,本当はおいしい食べ物より,親の愛を求めているのではないでしょうか?

親の皆さんのなかには,子供には愛を与えることは出来ても,憎らしい夫(妻)には,愛など与えられないという方もおられると思います。

そんな方に,マザーテレサは次のように言っています。

家庭の外で人々にほほえむのは,たやすいことです
あまりよく知らない人をお世話することは,
実はとてもやさしいことなのです。
あなたの家の中で毎日会っている家族を,
思いやりをもって,
優しく,ほほえみを忘れずに愛しつづけることは,
とてもむずかしいことです。
特に疲れていたり,イライラしていたり,
機嫌が悪かったりするときは,なおさらです。
だれでも,そんなときがあります。
そんなときこそ,苦しむ姿のうちに救い主が,
わたしのところにきておられるのです。

マザーテレサ

イエス・キリストは,

すべて疲れた人,重荷を負っている人はわたしのもとに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。

マタイの福音書11章28節


と言っています。

夫婦関係につかれた方は,イエス・キリストのもとに近づいてみてはいかがでしょうか?

子供の自立心を育ててあげましょう

草原を走るこどもたち

ところで,井村さんは,おまえたちが倒れても,手を貸してやることもできない。だから,倒れても倒れても自分の力で起き上がりなさい。」と伝えています。

人生とは失敗の連続。倒れないように助けるのではなく,倒れたら自分の力で立ち直るよう学びなさいという教育方針です。
その一方で,倒れないよう,失敗しないよう,守って上げる,厳しいことは余りさせないという育て方もあると思います。学校のテストでいうと,後者はなるべくいい点を取ってもらおうと,先生がテストのヒントを教えてあげたりする,ということが挙げられると思います。子供にとっては有り難いとは思いますが。。。
ですが,後者の場合,余り過保護になりすぎると,子供は本来自分が出来ることまで他の人に頼ろうとする可能性があるため,将来に不安が残らないでしょうか?

子供は,いずれ一人で生きていかなければならないことを考えると,長い目で見た場合,個人的には,前者の教育方針の方が子供にとっていいように思います。。。厳しいかも知れませんが。。

鷲は,子を断崖絶壁から突き落として自ら飛べるように追い込む訓練をするようです。
それによって,子は大空を高く飛び回ることができるようになるようです。

鷲のように厳しく育てるのがいいのか?それとも,余り厳しいことはさせず,子供が傷つかないように,大切に優しく育てて行くのかいいのか?

本当の愛はどちらなのでしょう?

井村さんの遺言,色々,考えさせられますね。

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